怪盗ブログ
帰りの車の中。
考えていたのは十星のことだった。
エンゼルランプを貰いにきた男の子というのは、おそらく、十星だ。
こんな田舎で、同じ花を同じ日に見舞いに持って行こうなんて人が二人もいるはずがない。
「千夏、何考えてるんだ?」
運転しながら、大貴が言った。
「眉間にしわが寄ってるぞ」
「えっ!?」
「嘘だけどな」
「……」
「怒るなよ」
夕日にオレンジ色に染められた大貴を睨む。
「睨むなよー」
「ちゃんと前見て運転してください」
「はいはい」
大貴に全て話してしまえば、何もかも解決するだろうか。
おじいちゃんとおばあちゃんの家まで知られてるなんて。
二人に何かあってからじゃ遅い……。
それでも大貴に話すのは躊躇われた。
得体の知れない不安がいつも背後に付きまとっているようだった。