怪盗ブログ
振り返ると、そこにいたのは意地悪色男の高瀬君だった。
「よかったでしょ?」
「え?」
あたしはわけが分からず聞き返す。
高瀬君はにこにこしながら近付いてきた。
「な、なに?」
数歩後ずさると背中が壁に触れた。
(なんなの!?)
逃げ場を失くしたあたしに高瀬君は顔を近付けてくる。
「ちょ……っと!冗談でしょ!?」
左手で高瀬君の体を離そうとする。
けれど高瀬君はビクともしない。
そのままあたしの耳元に口を近付けて
「あの監督、もと警視庁のお偉いさん」
そう囁いた。
耳にかかる熱い息でそれどころではなかったあたしは、その言葉を理解するまでに数秒間必要だった。