魔女さんと黒猫

夢

夢を見た。
嫌な夢だった。


〈ねぇ 僕は魔女と離れたくないよ〉


《…いきなりどうしたの？》
魔女の優しい声が僕の小さな体に響く。


〈あのね、夢を見たんだよ、怖いの〉

夢の名残を振り払おうと、
僕は魔女にすり寄る。


《どんな夢？》

やっぱり魔女の声を聞くと安心できる。


〈僕と魔女が離ればなれになっちゃう夢。
ねぇ、僕たちずっと一緒だよね？>


僕がそう言うと魔女は優しく僕の背中を撫でた｡
その手の暖かさが伝わって､怯えていた僕の心がゆっくりと落ち着いていく｡


《大丈夫よ。私は魔女であなたが黒猫。
それが変わらぬ限りもし離れても必ず出会うわ》

〈そっかー､そうだよね〉

なんだかその言葉が僕を嬉しくさせたから
僕は魔女の膝の上に飛び乗る。

魔女は微笑みながら僕のあごの下をくすぐる。
僕はくすぐられながらも魔女に甘える。


そんな僕たちの日常

ただ一つ、僕は魔女が僕の問いをはぐらかしたことに気付かなかった。
今ならわかる。
だからもう一度聞きたい。

ねぇ、魔女。僕たちが魔女でも黒猫でもなくなったらもう会えないの？

そして、僕たちは離ればなれになるの？

ねぇ、答えてよ……