『遠距離恋愛のしかた』
何?
なんなの?
戸惑う私をよそに、信平は私の肩を抱き、
『渚ちゃんはこっちね!』
って真っ黒な車の助手席のドアを開けた。
『ちょっと待って!なんで別々?』
慌てて信平から離れると、
『…え〜!この方が楽しいじゃん!』
ってまたニコニコ顔を私に向けた…。
あぁ…人懐っこい笑顔…
意図も簡単に警戒心を取っ払われてしまう…
不思議…
『絶対このほうが楽しいから!』
信平は私の顔の位置まで腰を落とし、笑顔を近づけてくる。
これって…信平の無意識の行動なのだろうか…
それとも…
計算?
どちらにしてもこの笑顔は信平の武器なんだろうな…
少し強引で…それでいてこの笑顔に、私は悪い気はしなかった。