patchwork stories
(短編寄せ集め)
「なっ……おま」
「俺は本気だよ。逃げない……後ろも振り向かない」
今俺は親友の唇を奪おうとしている。
ずっと傍らから見ていた顔が、見たことも無いくらい驚いてて。
いつもは笑わない俺だけど、これにはちょっと笑える。
でも、笑うつもりはないよ。
だって俺は本気だからね。
親友の壁を壊しても良い。
その唇を奪ってしまいたい欲情が日に日に募り、抑えられなくなった。
もう本当の気持ちから逃げない。
だから関係が壊れたって楽しい過去を振り向かない。
線の向こう側。
ゆっくりと閉じたまぶたの裏に、まだ幼い笑顔が蘇った。