patchwork stories (短編寄せ集め)

「今日、二人で怒られちったな」


「……だな」



短く答えた俺に、チラッと視線をこちらに向けた気配。



足元の石を蹴るのを止めて視線を上げた。


……笑ってる。


俺の方を向いたおまえは笑ってて、コイツは馬鹿だなって頭の中で溜め息を吐いた。



「怒られちったけど、おまえと一緒なら楽しい。俺」



「……なんで?」


「わかんねーよ。でも、楽しい。おまえと一緒だと俺ずっと笑える」



言ってる顔が既に満面の笑顔だった。



ちっこい背中でランドセルがカパカパと揺れて音を立てる。


またロックしてないんだ。


コイツは馬鹿だから。



それで何回も中身落として、何回も俺が拾って中に戻してやった。


その時もやっぱりコイツは笑ってる。


だから俺は溜め息が出る。



溜め息を吐く俺を見てコイツは、笑ってた。



「やっぱりおまえと居ると楽しい。おまえは?」





あぁ。
俺は苦しいよ。



おまえの笑顔見てたら胸が苦しくて堪らない……。



ずっと、苦しいんだ。



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