【短編】Love through all eternity
「陽菜……、」
名前を呼ばれたと同時に、ギュッと腕を掴まれたと気付いた時には、……冬威の腕の中に抱き寄せられていて。
5ヶ月前と変わらない、冬威の仄かに甘い香水の香りに包まれていた――…
「……冬、威?ダメ……ッ!!」
「ダメじゃない。
目の前に会いたくて堪らなかった好きな女がいるのに、我慢なんてするわけないじゃん?」
「わ、たし……彼氏、いるもん……」
私の小さな呟きにも似た言葉に、冬威の体がピクッと反応するのを感じて。
“これできっと、冬威の方から突き放してくれる……”
そう考えながらも、シュン…と沈んでしまう心の奥底にある恋情に気付かないフリをした。