十人十色
「そっか。じゃあ、バイバイ。」

私の耳に彼の言葉が入ってきた。


やっぱり・・・

あわてて彼の顔を見たけど
彼は笑顔で手を振って
すでに私と反対方向に歩きだしていた。

「まって!」

私は彼に駈け寄る。

彼は足を止め私の肩を抱いた。


「簡単だよ。お金借りるのって。」

「え?」

「借りるの嫌だったらさ、可愛いんだから働くお店いくらでもあるよ。」

彼の顔を見上げると、すごくさわやかな笑顔だった。

言葉はすごく醜かったのに。


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