十人十色
「最近ついてないっすよ。」

さっき入り口のドアでぶつけた頭をさすりながらマスターに訴えた。

「大丈夫ですか?ほんとすいません。」

マスターは申し訳なさそうに水をテーブルに置いた。

「いや、いいんだけどね。あ、いつものでよろしく。」

マスターは笑顔でカウンターに入って行った。


さっき店に入ろうとしたら、内開きのはずのドアが
外にいる俺をめがけて勢いよく向かってきたのだ。


可愛い女の子が相手だったから
「いいんですよ~」
なんて気前よく返事したけど
実は相当痛かった。







< 29 / 32 >

この作品をシェア

pagetop