不良×依存症
月夜の契約
* *
「やっばい!!アリーナ席半端なかったですね!」
今、丁度午後21時。
桜庭海斗のライブが終わった直後だった。
今夜のライブは何と4回のアンコールに答えてくれた、桜庭海斗。
「すごいよね!いつもさぁ、スタンド席だったからさー!」
雪さんが携帯を閉じたり開いたり…を繰り返しながら、辺りをキョロキョロ見回す。
もう21時をまわってるというのに、蓮兄がまだ迎えに来ていないのだ。
「…仕事かな」
…そうかも。
「蓮兄…同じ弁護で3回目の裁判があるそうですからね」
「弁護士って大変だよね。殺人者の味方だってしなきゃいけないんだから」
まだ3年の新米の蓮兄だが、人々からの信頼は厚い。
やっぱ、蓮兄はすごいわあ…。
「ってか、マジ蓮遅くない?」
あたしはちょっと背伸びして、キョロキョロ目を泳がせる。
……ッ!?
あたしはある一点に視線を集中させた。
…だって!!
ちょー…ッ!
イケメンが立っている…!!
何か人を探しているようで、眉間にシワをよせている。