不良×依存症
「…いや。でもお礼とか必要でしょう?」
「とんでもない。お礼なんていらないですよ」
酔いが冷めたら、央を懲らしめる気ありありだがな。
この言葉は、胸の奥底に閉じ込めておいた。
「あっれえ?陸遅いなあ…。野球部遅れてるのかなあ」
野球部と聞いた瞬間、捺来の眉がピクッと動いたのは誰も気付くことは無かった。
「あっ、東の野球って強い人が集まるので全国的に有名なんですよ」
明菜の言葉を聞いた瞬間、鋭く尖った何かが捺来の胸をさした衝動に襲われた。
「まあ、最近では甲子園出場すら危ないんですけどねー…」
「はあ…」
相槌を打つので精一杯だ。
央をおぶって、疲れ果ててるから…?
いや、理由はそんな軽いもんじゃない。
「東は部活動が盛んなんですけど、だからかもしれないんですけど、央みたいな帰宅部で成績もそこそこな人間は落ちこぼれって言われるんですよ」
とんでもない。
央みたいな成績でも、落ちこぼれになるのか。
だったら、俺が東高の生徒になったら創立以来の問題児にでもなりそうだ。
「まあ…彼女の場合、社交的だし、積極的だし、バカだけど友達想いだし…。だからこそクラスでも人気を誇っているんでしょうね」
なんで、央についてコイツはそんなに語っているのだ?
「ただ…なーんで酒飲んでるんだ?学校側にバレたら即退学なのに」
「あ、それはカルピスとカルピスハイを間違えた…あっ」