不良×依存症
瞬間、捺来はふたたび耐え切れない視線に絡まれた。
ああ…。
何で俺はこんな目にばっかあうんだ。
どいつもこいつも、全部このオンナの仕業だ。
このオンナと出会ってから、俺の人生めちゃくちゃだ。
「…え…っ、央?」
野球帽を被った一人の少年が捺来の後ろにいる央にゆっくりと近付いた。
多分、こいつが央の家を知っている奴だろう。
ここからだと顔は暗くてよくは見えないが、驚きを隠せていないようだ。
「酔いつぶれた央を拾ってくれたらしいの。陸、央なら送ってくれるでしょ?」
「え?あ、ああ…」
陸が曖昧に頷くと、チラッと捺来をのぞいた。
2人の視線が絡み合った瞬間だった。
捺来は眉をピクッと動かした。
………こいつ。
この男と俺は初対面ではない。
絶対、どこかであっている…。
証拠などないが、確信をもてる。
でも誰だったっけ…ととぼけている余裕すらない。
出る感情は、焦りと恐怖と…
「アノトキ」感じた感情全てが、何年ぶりかに蘇った…。