不良×依存症
「アノトキの事、ずっと謝りたかったんです!本当に申し訳ございませんでした!」
捺来は進める足を止めた。
「……何のこと?」
ゆっくりと振り返り、頭を下げる陸に冷たい言葉を放つ。
「…多分、人違いなんじゃないの」
いや、違う。
間違いなく、彼は俺に言っている。
そう思っても、傷の痛みを癒す方法はこれしかなかった。
「俺です!安西陸です。覚えてませんか?」
…いや、覚えてる。
はっきりと。
見事なほどに、覚えている。
「………」
「何も言わないんですね…。じゃあ、せめて1つだけ教えてください!」
返事が返ってこない陸は、はあ、と短い息を漏らす。
「央とどういう関係なんですか?」
「……偶然。他人だけど」
「嘘ですよね!?今日、央、歌番組に参加してるはずです。確か、それ、ペアで…」
陸は言葉につまる。
「そのペアって、弥生さんじゃないんですか?」
「………」
捺来は黙るばかりだ。