不良×依存症



「嫌です!」


陸は捺来の冷めた言葉を、振り払った。



「弥生さんに、弥生さんに俺の気持ちなんて分かるんですか!?」


「じゃあ、言い返すけど、アンタも俺の気持ちなんてわかんの。わかってて、野球やれって言ってんの?」



「それは……ッ」



捺来は鼻で笑う。


「悪いけど、俺は人生を野球ごときに捧げないよ。絶対に」


最後、念を押すかのように、鋭く言葉を放つ。



「弥生さんは、結局逃げてるだけじゃないですか!」



あーもう疲れた。


なんで、こんなガキと言い争いなんてしないといけないのだ。



「逃げてるんじゃない、呆れてるんだ」


「そうやって、逃げる!」




苛立ちが、身体中を駆け巡る。




「ざけんなよ」


捺来は冷たい視線だけを残して、駅へと戻った。



陸はその後姿を、睨みつけるだけで…。




「負けたくせに……」



陸は腕に力をこめた…。
< 114 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop