不良×依存症
「嫌です!」
陸は捺来の冷めた言葉を、振り払った。
「弥生さんに、弥生さんに俺の気持ちなんて分かるんですか!?」
「じゃあ、言い返すけど、アンタも俺の気持ちなんてわかんの。わかってて、野球やれって言ってんの?」
「それは……ッ」
捺来は鼻で笑う。
「悪いけど、俺は人生を野球ごときに捧げないよ。絶対に」
最後、念を押すかのように、鋭く言葉を放つ。
「弥生さんは、結局逃げてるだけじゃないですか!」
あーもう疲れた。
なんで、こんなガキと言い争いなんてしないといけないのだ。
「逃げてるんじゃない、呆れてるんだ」
「そうやって、逃げる!」
苛立ちが、身体中を駆け巡る。
「ざけんなよ」
捺来は冷たい視線だけを残して、駅へと戻った。
陸はその後姿を、睨みつけるだけで…。
「負けたくせに……」
陸は腕に力をこめた…。