不良×依存症
* *
「あっかん。何この、むさくるしい集団は!」
怒りという感情に理性を飛ばした捺来を、健はそっとなでる。
今日は捺来、健が通う西高の向かいにある東高の学園祭だ。
祭り行事が大好きな健にとっては、もってこいの日だ。
しかし…。
「何で、俺まで行かなアカンねん!一人で行けや!」
「えー。自分だって"央ちゃん"に会いたいくせに☆」
健はそういって、捺来の頬を人差し指でつつく。
「ひぃ…ッ!な、なんでそうなんねん!」
恐ろしい!
捺来の肌に、鳥肌が目立ってくる。
「まあ、どっかキャバクラとかやってるとこ行こうぜ。何か、女の子と遊びたい気分」
「…こんなほぼ男子校の学校に、そんな出し物あるか。あるとしても、おかまバーくらいや」
捺来は、はあ…とため息をついた。
「だーよなー…。だからこそ、こーんなにお客さんは女子高生ばっかなんだろーなー」
健が周りを見渡しては、はあ…とため息をつく。
「っま!ナンパにはもってこいってか!」
「……まじかよ」
健のバカらしい発言に、捺来は呆れを見せた。
「なあ…。俺本気で帰っていいか」
捺来は健に、そう言った。