不良×依存症
「はっ?……俺、何言ってんだ」
なっちゃんが、あたしを見ては首を傾げる。
………?
「ああ…。変な夢をみたからだ…」
なっちゃんがガックリと下を俯き、唇を強くかんだ。
「変な夢…?」
「最近、よく見んねん…。多分、アイツのせいや」
アイツ…。
それは、もしあたしの勘が当たっているのならば…。
陸に間違いはないだろう。
「……なっちゃん、野球やったら?」
「はぁ?」
そう言ったあたしを、なっちゃんは白い目で睨む。
その目の奥にある瞳に、光という存在はなかった。
「だって嫌いでやめたわけじゃないんでしょ?じゃあ…」
「バカじゃねーの。もう遅いんだよ…」
何が、遅いのだろう。
野球を再び始めることが、もう既に過ぎたとでも言いたいの…?
「遅いとかじゃないよ!したいか、したくない、その2択だよ!」
「じゃあ、"したくない"!」
なっちゃんがぶっきらぼうにそう答えると、舌打ちを漏らし、立ち上がる。
「打ち上げ行ってこいよ」