不良×依存症
陸がふーんと言って、欠伸をひとつ。
「弥生さん、か」
腕をさすりながら、陸が嫌味たっぷりの声でそう吐いた。
否定しようとしても、できない。
なぜなら。
自分でも分かる程に、顔が真っ赤になっているからだ。
あー熱いっ。
「あっ、陸!予選勝ったなら、もう甲子園出場なの!?」
慌てて話をそらす。
「いや…、まだ1回戦…」
「じゃあこれからだねっ。がんばーっ」
あたしは陸に向かってガッツポーズを向けた。
そして、コピーした新聞を陸にバレぬよう、スクールバッグの中へと無造作に入れる。
陸には絶対知られたくない。
あたしが、なっちゃんの過去を掘っているってことを…。
「ねぇねぇ、テレビでは甲子園予選やらないの?」
「準決勝くらいからかな…」
「へー」
無理しているのは、痛い程にわかる。
けれど。
陸はバカだけど、勘が鋭い。
ボロクソだしたら、バレるのは目に見えている。
「忘れろよ…」