不良×依存症
「俺、やめるよ。」
あんなに野球が大好きだった陸が恋という感情1つに揺るがされ、やめると放った今。
彼の感情は、強いと思い知らされた。
「ちょっと…!やめてどうすんの!?今、予選はじまってんだよ!?」
「関係ない。甲子園終わってから、野球やめるなんて遅い。」
強く決意をした陸を、止めることが可能な人間はいないだろう。
…いや。
一人だけならば、いる。
「明日から、央と喋れないなら、今日で野球やめんだよ!」
それだけじゃない。
弥生さんの捨てざるをえなかった夢を、嘲笑った罰…。
央の感情を踏みにじった罰…。
そして。
中学時代に、悲惨な虐めの傍観者としてただ指をくわえ、見ていた自分に罰…。
「……ごめんなさい」
消え入るような声で、ただ呟くだけだった。
もう一度、やり直したい。
中学時代から。
憧れの人を、救いたい。
好きな人を、振り向かせなくてもいい。
どうせ、俺なんかに振り向く筈なんてないのだから。
ただ、笑いあえれば…。
それだけで幸せなのに。