不良×依存症
「だからよ、絶対諦めるなよ?」
捺来が陸に忠告する。
「へ?」
「大体よーお前から野球とったら、何もねぇじゃん。」
陸は捺来の放った言葉に、何も言い返すことができなかった。
そうだ。
今、考えれば弥生さんは顔が元々いいから、野球やめてからも更にかっこよくなった。
だけど。
俺がかっこよくなれる訳が無いしなぁ・・・。
陸は頭を激しくかいた。
「じゃあ、やっぱ俺野球捨てきれないす…」
心の黒いモヤが一瞬にして消え去ったようだった。
「うん、それがいいと思う。」
捺来が陸に向かって、微笑んだ。
その笑顔が、男である陸でさえ不覚にもドキッと胸が高鳴るほどの美しさだった。
「弥生さん…なんかありがとうです。今弥生さんに出会えてよかったっす」
「あーね」
じゃ、と一言付け加えると、捺来は歩き出した。
そして、捺来は携帯を取り出した。
そして、ある人を呼び出す。
なかなか切れぬ、機械音。
ブチッと切れるとともに、捺来は口をひらいた。
「如月さん?央、いますかね」
「弥生さん、待って!」
陸が捺来をよびとめた。