不良×依存症


* *



あたしと雪さんと蓮兄が連れてこられた場所は、裏。


え、裏?


「…ここって」


今、あたし自身が驚きを隠せない。


1つの張り紙、1つのトビラ。



【桜庭海斗様 控え室】



大きく、はっきりと書かれた文字。


…嘘、でしょ?


雪さんがやけに静かだと思ったら、蓮兄におぶられて、眠っている。


「…おい、相沢。まさか知り合いの弟って…」



蓮兄もあたしも、勘だけは鋭い。


多分、考えてることは一緒。


「ああ。桜庭海斗の弟…弥生捺来のことだ」


やよい、なつき……。



あたしと蓮兄は顔を見合わせて、ドアの向こうに続く道へと歩んだ。


そこには、ふて腐れた様子の少年とスーツを着た兄ちゃんと…。



桜庭、海斗!!!


「う…あ、きゃあっ!!」


あたしの口から言葉にすらならぬ、叫び声が放たれた。
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