不良×依存症
「まぁ、泣き腫らしてたんで、このサマなんすけど」
そういって、なっちゃんは学ランを脱ぎ、濡れた形跡の残るシャツを見せた。
「え、そんなに泣いたんですか?」
酒巻がなっちゃんに向かって、そうたずねる。
「そんなに泣く程、好きなんだろ」
なっちゃんはボソッと小さくそう呟いたが、あたしの胸には大きく響いた。
心臓の音がドクンと大きく波を打った瞬間でもあった。
「自分の意志じゃなく、お前の言う通りに事を進めようとすんだよ。あれは、マジだね」
なっちゃんは、陸の尊敬する先輩なのだ。
だから、先輩であるなっちゃんはやっぱり全てを考えてくれているのだ。
陸の苦しみも、辛さも、全て。
「お前、もうどうしてくれんだよ…!」
酒巻があたしに再び怒鳴る。
無理も無い。
落ちこぼれのあたしは、陸に何かをいえたようなもんじゃない。
そんなの
自分が一番良く知っていたはずなのに。
「ごめんなさい…」
「だから謝って済むようなもんじゃないの!」
あたしは顔を上げて、涙を必死に堪える。
なっちゃんはそんなあたしを、冷たい瞳で突き刺した。
そして、なっちゃんは明菜と酒巻の方を見る。
「あのさ…」