不良×依存症
「ああ。それはないね」
なっちゃんだけ、感情を露にしていない。
酒巻も明菜も、怒りの感情で顔が真っ赤になっているというのに。
「でも、何も知らない俺等がよ、央ばっか責めるってのもアリなんかなぁ」
のん気に頬をかいて、欠伸をひとつするなっちゃん。
「央」
ふいに、なっちゃんに名前をよばれ、身体が緊張した。
「本当にお前だけが悪いのか?」
「……」
でも、陸だって。
一番身近にいて…
そして、その現場にいながらも…。
なっちゃんが夢を捨てざるをえなかった事実を、酷く言った。
なっちゃんを、落ちるところまで落ちた人とか、別世界の人とか言って、彼の名誉を傷付けた。
そして。
なっちゃんは夢を捨てたただの弱者だと言い放った。
…彼が信じられなかった。
後輩として、憧れの人として、なっちゃんを慕っている陸。
それなのに、なっちゃんを悪くいったんだ。
「……そうだよ」
そう言った瞬間、堪えきれなくなった涙がどっと溢れる。
「陸だって、あたしを傷付けた…」
嘘のように、激しい嗚咽をもらしながら、大声で泣き続けた。