不良×依存症
「もう意味わかんね。いいわ。明菜行こう」
呆れた様子の酒巻が、明菜の腕を強引に引っ張る。
そして、そのままあたしの部屋から出て行った。
「友情…崩壊」
なっちゃんはドアの先を見つめ、そう呟いた。
「こんな事は言いたくないけどさ…。俺さっき東高行ったんだ。そしたら…、もう噂は広がっていたよ」
だと、思った。
唇が切れそうなくらい、噛みしめる。
なぜだろう。
力いっぱい噛みしめているはずなのに、ちっとも痛くない。
痛いのは…。
心だけだ。
「でも、お前だけが悪いわけじゃない。それだけは忘れんな。誰かにどういわれようと、自分の考えを貫き通すんだ。」
声が出せない代わりに、コクンと頷いた。
「でも、何で俺の愚痴でそんなキレんだよ…。ほっとけばいいだろ」
「ほっとけなかったの…」
スカートを握り締め、なっちゃんの顔を見上げる。
「好きな人の愚痴は、自分の愚痴を言われるよりキツイもん…」
あたしがそう言うと、なっちゃんはすぐ目をそらした。
「何より、陸にだけはなっちゃんの愚痴は言ってほしくなかったんだもん」
「んは、それさっきも聞いたね」
なっちゃんの輝く笑顔が、空の景色と同化する。