不良×依存症
「陸…告白はしないの?」
あたしがそう言うと、陸は首を傾げる。
「…今の話で、野球より好きなものが人ってわかったの?」
わかった…ていうか、酒巻をはじめとするクラスメイト達に、陸のスキナヒトがあたしだって事は聞かされているし。
それに。
陸の好きなのって、感情があるって言ってたし。
それって、人しかないよね?
「…告白ね…」
陸が星が広がる暗闇に顔を向けた。
「できないよ。告白した事で、関係崩れるのは目に見えてるもん」
「……」
もし、あたしがマジで陸に告白されたら…。
あたしは、今までの関係を貫き通すことができるのだろうか。
「それにさあ…、そいつ俺の事全く見ようとしないし。何だろう…、友達以上恋人未満みたいな…」
確かにそうだ。
あたしと陸の関係は、まさに友達以上恋人未満だ。
「正直、恋なんてした事なかったんだ。大阪にいる時から、ずーっと野球一筋だったし。女になんか眼中に入ってなかったし…でもさ、高校入学してさ、初めて恋に落ちたよ。稲妻の被害者だったよ、俺は」
そういっては、陸は笑った。
その笑う姿が、胸が締め付けられる程に苦しかった。
彼は何も悪くないのに、なぜこんなにも切ない笑顔を浮かべなければならないのだろう…。
「告白してもさ…ダメなのはもう目に見えてんだ」
「そんなことないよ!」