不良×依存症
「へえ!蓮兄もですか!?」
「いや、アイツは分かんないよ。別に、生まれた時からずっと一緒ってわけじゃないし」
……へっ?
あたしは、目をパチパチとさせた。
生まれた時から一緒じゃない……?
どういうこと?
「あっ、お袋言ってねぇのか。まいったな…」
お兄ちゃんが、頭を抱える。
「なんでもない。今のは…アレだ。言葉のあやってもんだ」
はぁ…。
納得はできないけど、あまり深入りするのも面倒だ。
「それに、スターになりそうな選手は俺、目つけてるからね。安西陸…もその一人だし」
やっぱり、陸ってすごいんだ。
こんな陸にとって、他人のお兄ちゃんも陸の存在を知っているのだから。
「でも、何年前だったかなぁ…」
お兄ちゃんが腕を組み、天井を見上げながら何かを考えている様子だった。
「あっれー!?先生!?」
家の中をある一人の声が、支配した。
う、うるさーっ
あたしは後ろを振り返ると、雪さんと蓮兄の姿があった。
さっきの声の持ち主は、雪さんのようだ。
「あ、雪村じゃないか」
お兄ちゃんが雪さんに向かって手を振った。
だけど。