不良×依存症
あの新聞では、なっちゃんのライバル…といっていた人のことか。
「先生、何言ってんの。」
「お前、うっせーな。野球だよ、野球」
先生が雪さんに呆れを見せた。
「あの、お兄ちゃん。青山投手は…甲子園でるの?」
「さぁ、でもアイツの高校も今、ベスト4に入ってるだろう」
青山って人は、きっと、関西の高校で出場するはずだ。
…多分だけど。
「あと…尚院っていったら、物凄い奴がいたんだ」
「物凄い奴…?」
お兄ちゃんの奥さんが、繰り返した。
お兄ちゃんの奥さんが"奴"と放つと、なんだか違和感がある。
雪さんなら、全然ないと思うけど。
「弥生捺来か?」
今まで黙っていた蓮兄がそう言った。
え、なっちゃん…?
てかてか、蓮兄、なっちゃんが野球やってたこと知ってんの!?
あたしは、驚きを隠すことができなかった。
「あ、そうそう。そんな名前…。でも何でお前が知ってんだ?」
「色々騒がれてたもんなぁ。悪い意味で」
蓮兄が雪さんの前にお茶を差し出し、もう1つのお茶を口に運ぶ。
「悪い意味ってどういうことですか?」
お兄ちゃんの奥さんが、首を傾げる。