不良×依存症
弥生兄弟の秘密
* *
「あの…如月さん」
あたしは今、夏休みを満喫中。
高校2年生の夏休み…ってなんだか、微妙なお休みだ。
なっちゃんに、会いたい。
でも、会えない。
なぜなら、なっちゃんの進路が分からないからだ。
就職するのか、進学するのか…。
まぁ、西高は進学校じゃないから、就職組が9割を占めるって聞いたことあるけど…。
それでも、なっちゃんがその中の1割の人間だったら大変だからだ。
連絡先も、分からない。
でも家は、夜からしかクーラーをつけてはダメなので…。
現在、あたしは蓮兄と雪さんの仕事場のクーラーに涼みにきている。
本当はイケナイ事だけれど、ここの仕事場の人はみんな優しい。
あたしは、常連だ。
そして、今日も"悩める子羊"が蓮兄に依頼をする。
「……あっ。お前」
蓮兄が、お客さんに、そう言った。
お前って…。
全く、失礼な弁護士だ。
「あっ、だめ。如月さん……」
お客さんが蓮兄の動く唇を、両手でおさえる。
あたしは、お客の服装に、正直ドンビキしてしまった。