不良×依存症
不覚にもそう思ってしまった。
「それで、5年ほど前かな…。親父が死んで、5,6番目の再婚相手は財産全部もって、俺等を捨てて逃げたんです」
蓮兄は、さすが。
メモッてる。
「残ったのは、借金だけっすよ」
桜庭海斗は、切ない顔を浮かべ、静かに笑った。
その表情は、どこかなっちゃんそっくりだ。
「…それで?」
「あぁ…。こっからが本題なんですけど」
桜庭海斗は、ヅラと、メガネをとった。
……!!!!
か、か、かっこいいー!
横に倒れているあたしは、そんな事を思ってしまった。
「戻らないか…と言ってきてるんです」
「……弥生さんの仕事の好調ぶりに、目をつけた…ということですね」
「そういうことです」
…ひ、酷い!!
「それに、戸籍上、親子なんですよね…。俺等」
「弟はそれを知ってるのですか?」
弟…なっちゃんのことか。
あたしの顔が熱くなる。
なっちゃんの名前がでるだけで、あたしの顔は真っ赤になる。
それほど、愛しい表れなのだろうか。