不良×依存症
「弟は、アノヒトを嫌っています。そんな事いえませんよ…。戸籍上、他人だって嘘もついてるんです。それに……」
桜庭海斗は一息つく。
「弟は、今、大事な時期です。そんな事いえませんよ」
「大事な時期…?」
蓮兄が首を傾げる。
「なっちゃんは、高校3年生だからね」
あたしは立ち上がり、蓮兄にそう教えてあげた。
蓮兄は、あぁ、と納得したようだった。
「…弟の事知ってるの?」
桜庭海斗が言った。
「は、はい!」
やっぱり、憧れの人に話しかけると、なかなか恥ずかしいもんだ。
「それで?」
蓮兄が話を続ける。
もー。
もう少し、桜庭海斗と話くらいさせてよね。
「…向こう側と話し合います。弁護してくれませんか」
「起訴は?」
「マスコミに即バレします」
…芸能人は大変だ。
「わかりました。じゃあ、今日はこの辺で…。あっ」
蓮兄が、立ち上がる桜庭海斗をとめる。