不良×依存症
「おかんとか、知り合いはみんなテレビで結果知るだろうし、テレビ見ないのはお前だけだからさ。別に特別!ってわけじゃなんだよ!」
陸が焦って、そう言った。
全く、可愛い奴だ。
「はいはい」
「それでさ、次は…決勝戦なんだ」
陸の声が低くなったような気がした。
気のせいだろうか。
あたしは重い身体を起こす。
「うん」
「応援…来いよ」
そっか。
甲子園予選決勝戦は応援するって言ったんだっけ。
「明後日、午後1時からだから…」
「お金かかる?」
今、正直金欠なんですけど。
……と。
お金の心配をしてみる。
「外野席は学生無料だよ。だけど、内野席は300円くらいかな」
「じゃあ、あたし外野席ってとこで」
「だめ!」
陸があたしの言葉を遮る。
「なんでぇ?」
「外野席だったら、俺の背中しか見えないじゃん!」
「知らないよ、そんなの。外野席だか内野席だか知らないけど」