不良×依存症
「俺さ、気付いたんだ。」
「何を?」
陸の表情が分からないから、彼が何を考えているのか全く見当つかない。
「野球はさ俺にとってすごく大切なもんで、俺を成長させてくれるもんなんだって」
「そっか」
陸が羨ましい。
あたしもいつか、大切なものにめぐり合ってみたい。
スポーツもダメだし、勉強も好きじゃないし、あたしには成長させてくれるものがない。
「俺、野球すっげー好きだよ。大好き」
顔は見えないけど、陸の笑顔が想像できる。
「うん」
「で、な…俺野球と同じくらい、央の事が…」
「好きって気付いたの?」
「………」
あたしが陸の言葉を遮ってそう言うと、陸が黙った。
ありり?
……図星?
いや、まぁ、分かってることなんだけど。
言っちゃいけない空気だった?
「お、お前なぁ…」
「ご、ごめん。いっちゃいけなかった?」
「当たり前だろ。"好き"ぐらい、俺に言わせてくれよ」
ついに認めた。
これは、もうもろ告白だろうか。