不良×依存症
* *
しばらく経つと、なっちゃんが息切れしてやってきた。
「もー、遅いよ、なっちゃん!」
なっちゃんは、あたしを見ては、驚きを隠せない様子だった。
「……お、お前!騙したな!」
「だって、こうしないと、なっちゃん甲子園予選行かないじゃん」
「誰が行くねん、アホー!」
なっちゃんはあたしを睨み、帰ろうとする。
「嫌だぁ!帰るなあ!」
「それが目的やったんやな!誰が甲子園予選行くか!」
あたしはなっちゃんの腕を必死につかんで、全体重かけてなっちゃんを止める。
「あ、わかった。なっちゃん!」
「何や」
「行かないと夏休み明け、西高前で、なっちゃんのお兄ちゃんは桜庭海斗でーすって叫ぶからね!」
あたしがそう言うと、なっちゃんは勢いよく振り返った。
「お前なぁ…!理不尽すぎやろ!」
「じゃあ、甲子園行くに!」
「行くに…って何やねん」
なっちゃんがあたしに呆れる。
「だって、陸がなっちゃん好き言ってね、連れてきてって言うんだもん」
「おい、待て待て。それは変な意味じゃないよな?」
やっぱり。
あたしと同じ発想をしている。