不良×依存症
なっちゃんが喋るのを止め、深呼吸をする。
「東のピッチャー、安西陸は昨日の準決勝と同じペースだと明らかにホームランを打たれるだろう…。…そう、あの4番に」
……4番?
うん?
それって、相手チームの背番号の人?
わっかんねー!
でも…。
なっちゃんが昨日と同じだったら、打たれるってどうして分かるの…?
そんなのやってみないとわからないじゃない。
「…わかった。じゃぁ、試合終了したら、お前に電話するわ。お前今どこおるん?……あぁ、わかった。じゃあまた後で」
そう言うと、なっちゃんは電話を切り、携帯をポケットにしまう。
「ねぇ、なっちゃん、さっきから4番、4番…。そんなに4番は強いの?4番って誰?背番号4番?」
「な、何やねん、お前…。4番4番うっさいな」
なっちゃんが耳をかく。
そ、そんなにうるさかった?
でも周りの方がうるさいでしょ。
「四番打者や。」
「よんばんだしゃ…」
「まんまやん!4番目に打つ選手のことや!」
あたしの顔を見て、なっちゃんがキレた
「…わ、わかったよ。で、今の電話誰だったの?」
「弟」
そう言うと、なっちゃんはポケットから棒がついている飴を取り出し、舐め始めた。