不良×依存症
決勝戦・前半
* *
「す、すすすすすごい…。球投げてない」
「だから、投げてるって」
「投げてる言うとるやないか」
なっちゃんと酒巻に同時に突っ込まれた。
両端に突っ込まれるほど、嫌なものはないわ!
しかし、2人はさっきから何気に注目を浴びている。
なっちゃんがかっこいいのはもちろんのこと、酒巻も黙ってりゃあかっこいいからな…。
…じゃなくて。
野球観戦に集中しましょ!
だけど、東のバッター…打ってくれない。
「やばいな…。2ストライク」
つーすとらいく…。
やっぱり、野球はわからん。
そして、ピッチャーが投げる。
バッターは構える…必死に。
「あっ!」
あたしが声を出した瞬間、もう既に遅く…。
「ストライク!バッターアウト!」
1番目のバッターは、アウトになった。
「う、嘘だろ!?トップバッターがアウト……」
酒巻が目を大きく開いて、ゆっくりと立ち上がった。