不良×依存症
決勝戦・後半
* *
「痛…ッ!」
高校生なったばかりの4月。
「あー、わり!ごめん!」
放課後の帰り道を歩んでいるとき、あたしの頭に何かが当たったのだ。
……下を見下ろすと、野球ボール。
あたしはそのボールを拾い上げ、近付いてくる少年に差し出した。
「痛い!」
「だから、ごめんって!」
あ、この男…。
同じクラスの安西とかいう男だ。
出身中学校も違うし、席もそんな近くないし、縁は全然ない。
「もー、可愛い女の子にボール当てるとか…、さいてー!」
「はっ?もしかしてお前、自分の事可愛いとでも思ってんの?」
陸のその一言で、今のあたしたちの関係ができたのだ。
「ちょっと、それどーいうこと!?」
「い、いや…。可哀相だなぁって…」
「ひっどーーい!」
あたしは、野球ボールを安西陸に投げつけた。
「いって!お前、何してんねん!」
「へっ、あんたどこの人よ!?」
「関西!」
安西陸はウィンクして、両手ピースサインを送ってきた。