不良×依存症
一番打者は1塁…いや、2塁でストップ。
そして、二番打者へとバトンがつながれた。
「いっけー!」
もうさっき、貧血で倒れた人とは思えないような応援。
でも、東が勝つためだ。
応援してやるもん!
「あっ…。」
しかし、二番打者は3ストライク、つまり三振…。
「1アウト…」
やはり、最後の攻めってだけあって、アウトはきつい。
ピッチャーのガッツポーズがテレビにチラッと映された。
んー!
何よー!
しかし、まだ試合は終わっていない。
三番打者がバッドを強く握り締める。
ピッチャーはまるでスローモーションを見ているかのようだ。
そして、素早いボールを投げる。
「……ッ」
「1ストライク」
なっちゃんが唇を噛みしめ、上を見上げる。
「……すげ」
なっちゃんの声が珍しく、弱く、震えていた。