不良×依存症
なっちゃんだって、もう一度野球やりたいって思ってるんじゃないの…?
得点は、3対2から、5対2へと変わった。
「3点差!」
3点も差がある…。
絶対、勝つんじゃない!?
いや、東は今まで頑張ってきたんだ!
苦労も苦難も必死に乗り越えてできたチームなんだ!
ピッチャーは、ホームランを打たれたという悔しさから来ているのか、顔が酷く歪んでいた。
そして、ピッチャーは鬼のような形相をしながら、ボールを投げる。
そのボールは素人のあたしにはそのボールの残像しか見えない。
「……あっ」
「1ストライク」
なっちゃんの瞳をみると、その瞳は何かを訴えているように見えた。
……気のせいだろうか。
「……頑張って…」
あたしは必死に祈った。
もう胸が壊れそうなくらい、高鳴っている。
ピッチャーが投げる…。
カス……ッ
打者のバットに、ボールが当たることは無かった。
「2ストライク…」