不良×依存症



陸が、マウンドにたつ。


そして、陸はボールを投げる。



……さすが。


陸の投げる球も、はやい。



そして、相手チームの打者が陸を睨みながらかまえた。



陸は、その瞳に反発するかのように思い切り投げる。



だけど……。



「……あっ」


あたしがもう声を出した瞬間、遅くて。


テレビの向こうで何が起きてるのかもわからなくなって…。



あたしは目を瞑った。


現実を受け入れないかのように、必死に瞑った。




「……くそ…っ」


なっちゃんの声で、今のが現実だと思い知らされた。



目を開け、テレビを見上げると、一塁には、さっきの打者がたっていた。



陸のボール…一発目で打たれたんだ…。



「……まだ、まだいける」


自分の昂る感情を抑えるかのように、あたしは自らに言い聞かせた。



二番打者が、かまえる。



……陸、頑張って!


そして、陸がボールを投げた…。


< 255 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop