不良×依存症
陸が、マウンドにたつ。
そして、陸はボールを投げる。
……さすが。
陸の投げる球も、はやい。
そして、相手チームの打者が陸を睨みながらかまえた。
陸は、その瞳に反発するかのように思い切り投げる。
だけど……。
「……あっ」
あたしがもう声を出した瞬間、遅くて。
テレビの向こうで何が起きてるのかもわからなくなって…。
あたしは目を瞑った。
現実を受け入れないかのように、必死に瞑った。
「……くそ…っ」
なっちゃんの声で、今のが現実だと思い知らされた。
目を開け、テレビを見上げると、一塁には、さっきの打者がたっていた。
陸のボール…一発目で打たれたんだ…。
「……まだ、まだいける」
自分の昂る感情を抑えるかのように、あたしは自らに言い聞かせた。
二番打者が、かまえる。
……陸、頑張って!
そして、陸がボールを投げた…。