不良×依存症
「ストライク…ッ」
ふぅ……。
あたしは、深く深呼吸した。
「……どうしてだろう…」
なっちゃんがそう呟いた。
9回表から、なっちゃんの様子がどうもおかしい。
弱っている。
「俺だって……ッ」
「野球したいの?」
なっちゃんの声を遮って、冷静な態度でそうたずねた。
「……ッ、んなわけ…」
「強がらないでよ!やりたいんでしょ!」
「違うわ…!」
なっちゃんは、あたしを睨む。
その瞳は、やはり何かを訴えている。
僕に野球をもう一度させてください…?
……なんだろう。
「陸は一生懸命だよ。勝つ為に必死になっている。野球ごときなんていわないでよ!なっちゃんだって野球を通して色々成長したんじゃないの!?」
「でも俺、野球しなかったら、道を踏み外すことなんてなかったんだよ!やめて正解だったんだよ!」
「嘘つかないでさ!」
あんなに必死になって応援するくらい、大好きなくせに…!
「もう自分の気持ちに素直になってもいいんじゃないの?」