不良×依存症
なっちゃんがあたしの言葉に黙る。
そして、重い空気だけが流れていく…。
「…なんで…」
なっちゃんが眉間にしわを寄せる。
……その表情は、どこか切なくて。
守りたくなるような瞳だった。
いつものあの突き刺す冷たい瞳じゃない。
「何で、俺の為に、んなこと言うんだよ…」
「なっちゃんの為じゃないもん、自分の為だもん」
そう。
全ては、あたしの為…。
……いや、全てじゃないけど。
目的は、なっちゃんの野球姿を見たいから。
最初は…そうだった。
でも、今は、なっちゃんに夢を諦めてほしくない…。
ただそれだけだ。
「あたし、なっちゃんが好きだもん。好きな人が、我慢してるとこ見たくないよ」
「………ッ」
なっちゃんはあたしから視線をそらし、唇を噛みしめる。
悔しそうに、唇を強く噛みしめている。
本当は野球やりたいくせに。
ずっと、見てたんでしょ?
昨日の中継だって、見てたんでしょ?
…だから、陸がスランプ状態ってこともわかってたんでしょ?