不良×依存症
相手チームのバッターも、東高校の陸も。
2人は、周りからの物凄いプレッシャーを背負っている…。
……陸がボールを投げた。
「あっ」
なっちゃんが短く声を漏らす。
そして、なっちゃんは立ち上がった。
しかし、その声の理由はすぐわかった。
打者はカキーンという音とバットを残し、一塁に走る…。
……あっ。
「抜けた…」
3塁にいたランナーが、ホームベースに戻ってきた。
…5対…3
それだけじゃなかった。
観客の声が大きくなる。
そう。
四番打者の打ったボールが遠くに飛び上がったのだ…。
そして、
「ホームラン……ッ!」
なっちゃんの気の抜けた声と同時に、絶望だけが残った。
塁にいた3人が戻ってくる…。
5対……6…。
「サヨナラ…ホームラン…」
なっちゃんが力をなくしたように、座り込んだ。