不良×依存症
陸の投げたボールは四番打者に打たれてしまった…。
それも、ホームラン。
今年も、甲子園への切符はあと一歩というところで逃してしまった…。
「負け…た…」
なっちゃんの震えた声が、あたしの瞳を刺激する。
……実感がない。
テレビの向こう側では、相手のチームたちが抱き合っている。
陸は、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「………う、嘘だ…」
気付けば、一粒の涙が頬を伝っていた。
どうして。
「安西余裕かましてんだ。何で、あんなときにストレートを…ッ」
なっちゃんが両手で顔を覆った。
テレビでは、相手チームが泣きながら校歌を歌っていた。
「もう、やだ!」
自分の学校じゃない校歌が外から聞こえて、耳を塞いだ。
あんなに…
あんなに頑張ってたのに!
「絶対…、絶対勝つと思ったのに……ッ」