不良×依存症
なっちゃんが叫んだ。
「弥生さん…」
「仲間を信じることはできねぇの?」
なっちゃんがそう言った。
仲間を信じる…。
それは、チームにとって一番大事なことだ。
仲間を裏切ったら、話にならない。
「俺さぁ、思うよ。仲間信じないと、野球楽しくねぇんだ」
……なっちゃん。
そっか。
なっちゃんは仲間だと思ってた人たちに裏切られたんだ。
「でも…、悔しかったんです…。」
「その気持ち、すっげーわかる。けどな、試合はお前一人でやってるわけじゃねぇ。だから、もう後悔ばっかするような事すんな」
なっちゃんの言葉はとても重みがある。
これは野球をやっている人たちだけに共通するわけじゃない。
全ての人間に共通する事だと思う。
「……まぁ、俺が言うことじゃないけど」
「いや、弥生さんのおかげで少し気が楽になれました。ありがとうございます」
なっちゃんが笑った。
試合には負けた。
負けたけれど、陸はまた何か大きく成長したような気がする。
負けたことで、学ぶことってたくさんある。
そして彼はまた、遠い存在になっていく…。