不良×依存症
傍にだけでも
* *
夏休みも終わり、気分はガタ落ちだ。
結局、甲子園も、東高校と闘って優勝した学校は1回戦敗退。
優勝高は、全然知らない学校だった。
「大体よー、翔林はよーキャッチャーがダメダメなんだよ!」
体育館で行われた始業式も終え、あたしと陸は教室に戻るところだった。
「しょうりん…?翔林…、あぁ!予選で優勝したとこね」
「…忘れてたんかい」
いやー。
記憶力、悪いものでね。
「キャッチャー酷い!俺なら、あんなキャッチャーにどうこう言われたぁないね」
「そんなに言うなって…」
叫びまくる陸の肩をポンポンッと叩く。
予選で怪我を負った陸の指は、全治2週間。
あたし、骨折なんてしたことないから、全治2週間が重症なのか、軽症なのかさえもわからない。
「あ、知ってた?陸。今日転入生が来るらしいんだ」
「え、まじで?女?男?」
「そこまでは…。ってか、転入生が来るって聞いただけで、学年、性別、全くわかんない」
「へぇ…」
陸はあまり興味なさそうだ。
彼はやはり、野球にしか興味がないようだ…。