不良×依存症


そういって渡されたのは、一通の手紙。



あたしは首をかしげながら、その手紙を受け取った。


「安西くんって、かっこいいですよね…」


高橋さんが窓の向こうの景色を見ながらそう呟いた。


……なるほど、読めた。


この子、陸が好きになったんだ。



「もしかして工藤さんも安西くんの事が…」


「あははっ、ないない!陸は親友だよ」


そう言った瞬間、何だか陸に申し訳ないような気がした。


「そっかあ、よかったぁ…」


実はお昼休み、明菜がこういっていた。


【あたし、高橋って女嫌い。何か性悪っぽくない?】


高橋さんと喋ったこともないのに、そう決め付けた明菜は高橋さんを完全に避けていた。


……でも良い人そうだよ。


「でも、高橋さん。この手紙は自分で渡したほうがいいよ。陸、これから来るし」


「えっ、あたしがですかぁ!?無理…無理ですよぉ…」


「大丈夫!あたしがいるから!」


あたしがガッツポーズを決めると、高橋さんは笑顔で頷いた。


あたしは手紙を高橋さんに返す。



「てか何で陸が好きになったの?そんなかっこよくないじゃん」


「今日、朝練している姿をみて…あんな必死な瞳をしている男性…みたことないです。一目惚れです…」



……必死な瞳…ねぇ。


彼は…まぁ良い人だ。

練習も手を抜かない、後輩には優しく指導、明るい積極的な性格だからみんなからの人気者だ。


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