不良×依存症
やっぱり、なっちゃん…自分が野球する気にはなれないのかな。
「……プロにはいかれへん…。私立受ける」
なっちゃんが空を仰ぐ。
「ええええ!?」
「まーじっすかぁ!」
あたしと陸は大きな声でそう叫んだ。
なっちゃんは両耳を塞いで、顔をゆがめる。
「私立の大学いって、俺、野球やることにしたわ」
あたしと陸は顔を見合わせた。
「う、嘘…」
「自分に素直なる」
なっちゃんがそういって笑った。
「俺元々、嘘つくの嫌いやねん。せやから、これからは自分にも素直になる」
やばい。
目頭が熱くなる。
「弥生さぁん!」
陸がなっちゃんに抱きつく。
「な、何やねん!」
なっちゃんが慌てて陸から逃げた。
「…なっちゃん!もう一度野球する気になったの!?」
「小学生の笑顔にやられたわ。見てて楽しい、楽しすぎる」
小学生…!
あ、ありがとぉ!
「西の野球部は、不良の固まりだから、大学の野球に練習混ぜてもらってんだ」