不良×依存症
その笑顔
* *
「安西くん…ッ!」
いつもと何ひとつ変わらない学校の昼休み。
高橋さんが陸の机の前に弁当箱を置いた。
陸はパンをかじりながら、高橋さんを見上げる。
「安西くん、いつも朝練お疲れ様っ。安西くんの為にお弁当作ってきたの!一緒に食べない?」
わーお。
高橋さん、すっごい積極的だなあ。
転入してまだまもないですよ、あなた。
「ごめん…、俺少食なんだ。パン一個で充分だから…」
「あ、そうなんだ」
……陸、嘘ついている。
陸が少食なわけがない。
彼とバイキングに行くと、必ず追加料金を請求されるくらい食べるのに。
「ちょっと、陸はみんなのアイドルなのよ!勝手なことしないでよ!」
明菜が口を挟んできた。
普段、陸と呼ばない明菜が陸と呼んでいるのには訳があるのかな。
……すごい修羅場になりそうだ。
「それにねぇ、陸は好きな人がいるの!」
「知ってるよ、それくらい!」
高橋さんが叫んだ。
「安西くんの好きな人が工藤さんだって事ぐらい知ってる!」
「おい…ッ」
陸が立ち上がり、あたしを見ては顔を真っ赤にする。