不良×依存症
「もう…ッ、嫌だ!」
「どうした…?」
今日のなっちゃんは怒らない。
あたしに優しく問いかける。
「なっちゃん、野球やるの?どうして?小学生教えてて、いいなって思ったから?バカじゃないの!?」
嗚咽を漏らしながら、吐いた言葉はとてつもなく酷い言葉だった。
「…は?」
「野球なんてやめてよ!バカバカしい!」
なっちゃんを抱きしめる力を強くした。
「……お前が野球やれって言ったんだろ…?」
「………ッ」
そうだった。
本当っ。
あたしって最低。
「お前が野球もう一度やれって言ったから、俺やったんだぜ…?」
なっちゃんの切ない声がゆっくりと落ちてきた。
「……え?」
「だってあんなに俺の事想ってくれてんだもん。誰だって心動かされるわ」
なっちゃんが静かに笑った。
………へ?
あたしはなっちゃんを抱きしめたまま、上を見上げる。
「じゃあ、あたしのおかげ…?」