不良×依存症



なっちゃんはゆっくり頷いた。


「多分、お前に出会わなかったら、俺野球を恨んでたままだと思うよ。」



………あたしのおかげ…。


今までの自分が、恥ずかしくなった。


野球やめれ!なんていった自分が酷く憎く感じた。



「出会いはさぁ、最悪だったよ。でもさ、俺んことを想うお前みてさ、ちょっときたわ」


「こういうのが好きなの?」


「ちょっとね、ちょーっと」


あたしはなっちゃんの背中にまわす腕を解いた。


そして、真剣になっちゃんと向き合った。



「ごめんなさい」


「何で…?てか、安西とお前すげーよ」


なっちゃんがあたしの瞳を見る。


なっちゃんの瞳は、もう冷たくなんか無い。


何でかな。


小学生とばっか触れ合っているからかな…。


「お前等見てると、逃げてた自分が情けなくなる。」



逃げてた自分…。


何から逃げてたのだろう。


野球…?



いや。

きっと、自分から逃げていたんだ。


自分の素直な本音をきくのが怖くて…逃げ回っていたんだ。



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