不良×依存症



じゃあ、あたしが宣戦布告した…


「惚れされてやる」


この言葉を言った前に、惚れてたって事…?



あたしよりも、先に惚れてたって事?



「じゃあ、何でフッたの…?」


「俺なんかと釣り合わん。お前は俺にはすっげー勿体無い。純粋すぎる」


……そ、それでフッたのか。


「酷いよ!それ!あたしすっごい悩んでたんだよ!50円玉くらいの円形脱毛だってできたんだから!」


髪抜けただなんて、嘘だけど。

でも、悩んでいた事は事実。


「俺だって悩んだよ!安西すっげーお前に優しいし、このままだとお前が安西にいくんじゃないかって…」


う、嘘でしょお。

なっちゃん、あたしが好きだったの!?



「甲子園予選なんて、安西のプレーみて心動かされるんじゃねぇかってそればっか考えてたよ!」


なっちゃんの顔が真っ赤なのがわかった。


あんなに感情に揺らされない彼が、今こうして真っ赤になっている。



「あたし…怖かったの」


陸だけじゃなくて。

なっちゃんまでが、あたしから遠ざかってしまうことに。



「なっちゃんが別世界の人になったらどうしようって」



「ならんよ…」


「なっちゃんが遠い存在になるのが怖かったの!」


鼻水も出る。

< 289 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop